不採択の事業計画書を 再申請 で通すには【事業再構築補助金】

「不採択の事業計画書を 再申請 で通せますか?」

採択結果が発表になった後、その事業計画書を修正して、次の公募の 再申請 で通せないかというご相談を多く受けております。

不採択のリベンジは可能か?

答: 内容によります。

もともとの計画自体が本補助金の趣旨から外れており、どうコンサルタントが頑張っても通せないような案件が多い印象です。(ただし、審査項目を網羅できていない事業計画も多く、それはコンサルタントの力不足です。)

誠実なコンサルタントなら、案件の最初に概要を聞いた時点で、「その計画だと難しいです」と答えるべきだと思います。

しかし、中には「着手金だけもらえればいいや」、または「万一通れば儲けもの」もしくは、純粋にそれをアドバイスできないレベルの低いコンサルタントがいるのかも知れません。

他社やご自身で作成された計画書で1次公募不採択となり、当社で2次公募申請予定の案件は、抜本的に計画を見直し、ほぼ全く別の事業計画となっています。2次公募では通せるものと自信を持っております。

なぜその事業計画書は1次公募不採択になったのか

不採択の理由については、電話で問い合わせれば、詳しく教えてもらえます。例えば、以下のような理由です。

不採択理由

SWOT分析が不十分

SWOT分析の結果が新規事業にどう生かされるのか明確でない

リスクと解決策が甘い

市場分析、商圏分析等マーケティングが不十分

収支計画の見積りの精度が低い

後半の市場分析等のマーケティング不足、収支計画の見積り精度だけが問題だったのであれば、多少の修正で採択される事業計画に修正できるかもしれません。

SWOT分析から新規事業につながっていない場合は、抜本的に事業計画を見直す必要もあるでしょう。

中小企業庁経営支援部長による第1回公募の傾向と参考事例

中小企業庁経営支援部長により第1回公募の傾向と参考事例に関する公式動画が公開されています。これを見て採択されなかった事例を見ることは、大変参考になります。

要点は以下の通りです。

申請件数22,000件の内訳

申請件数       約22,000件

製造業         約5000件
宿泊業・飲食サービス業 約3000件
卸売・小売業      約3000件
娯楽          約1000件
その他さまざまな業種が多かった。

申請者の声と計画策定に取り組んだメリット

認定支援機関と一緒に事業計画を書いてみてよかったという意見が多い

事業計画15ページ 15ページ以内に収めるのが大変。短くコンパクトにすることを意識することで、大事なポイントが見えてくる

事業計画の策定では、様々な不安や問題がある中で、あれもこれもと手を広げるのではなく、重要な項目に絞って取り組むことが成功の秘訣

事業主と認定支援機関で一緒に計画策定に取り組むことで、よいチームができた(お互いに発見があり、いいチームが誕生している)

事業計画策定で事業を言語化したことにより、中小企業の個々の価値や強みを伝えることができるようになった

認定支援機関

銀行、地銀信金、商工会、税理士、税理士法人が支援で活躍している

認定支援機関と二人三脚で計画策定に取り組み、実現可能性の高いよい事業計画を作れた事業者が採択された。

事業再構築補助金における事業計画の特徴と課題

①なぜ顧客(売上)が増えるのか?という説明をしっかりつける

なぜ顧客(売上)が増えるのか?という将来の説明が弱いものが多かった

例)宿泊業 ⇒ ワーケーション型に施設を作り変える、コワーキングスペースとして活用する
  大宴会場をコワーキングスペースとして活用すると、360人の宿泊客が550人になる ⇐ なぜ増えるのかの説明がない

例)製造業 ⇒ 健康食品の材料となる植物エキスを抽出する設備を導入しエキスの市場を作る
  誰が いくらで どれくらい 買い取るのかという説明がない
  今まで中小企業は、自社製品(原料等)を取引先に納品するまでしか想定していなかったが、
  その後取引先がどのように加工し、どの市場に投入し、どんな戦略でどのくらい販売するのかを考える必要がなかった

マーケティングに必要な数字を調べることが困難で、新しい市場での販売予測をすることが困難

売ってみないとわからない では説明にならない
マーケティングのために必要な環境が整っていない

最終消費者のどのようなニーズがあって、いくらの価格設定にしたらどれくらい売れるのか、調べて説得力のある説明ができれば、採択されやすい

多かった事例

製造業: 設備投資 新しい部品や商品を作る

飲食店: デリバリー多数、セントラルキッチン導入案も多い 合理化で低価格化

飲食店は大変だが、コロナ禍でも飲食店でもにぎわっている飲食業、宿泊業もある ⇒ 将来の方向性が見えてくる可能性も

当社でレビューした不採択案件の傾向

客観的なSWOT分析が不十分

特にご自身で作成された計画書では、客観的なSWOT分析ができていないケースが多いです。

特に「弱み」や「脅威」はイメージがわきにくく、書きづらい方が多いようです。しかし、そこが分析できていないと、既存事業の自己分析ができておらず、新規事業のリスク分析も甘くなるということで、事業計画の実現性に疑問符を付けられることになります。

やはり、そこはコンサルタントとディスカッションする中で認識されることが多いと思います。

重要なのはストーリーが流れているか

SWOT分析がある程度できているとして、新規事業には「強みをどう生かすことができるのか」「弱みをどう補うことができるのか」「機会をどうとらえることができるのか」「脅威をどう軽減することができるのか」ということがつながり、流れていかなくてはいけません。

そこが分断されてしまっていると、どこをこねくり回しても採択されない事業計画になってしまいます。

大胆な事業再構築を後押しするという趣旨の補助金ですが、大胆であればあるほど、そのストーリーの構築が難しく、本補助金の難易度を高くする一因となっています。

PowerPointの功罪、縦書きか横書きか

PowerPointできれいに仕上がった事業計画書で不採択になっているものがたくさんあります。

15ページ、もしくは10ページしかない中で、新規事業にかける熱い思いを書面だけで伝えきらないといけないのに、PowerPointのプレゼン資料風事業計画書で、タイトルだけで1ページ、エグゼクティブサマリーで1ページ使う余裕ありますか

事業計画書を持っていて、相手にプレゼンするなら、また、ページ数の制約がなければ、その方がいいでしょう。

箇条書き風で、大きめの文字、大きい写真・図表を使って。

私も銀行員時代はそういうプレゼン資料を作成して取引先を回っていました。

事業計画書は、その目的に応じて形式も変えなくてはいけません。ページ数の制約があるなかで、しかも口頭で補足できない書類審査の事業計画ですから、PowerPointや横書きだとどうしても内容が薄くなります。

当社の作成する事業計画書は、Wordの縦書き(+Excel埋め込み)です。(更にいうなら、読みやすさを追求した結果、フォントはメイリオ10ptです。章立てもストーリーがうまく流れるように、かつ、審査員に確実に審査ポイントを見つけられるように、公募要領と一部順番を変更しています。)

当社のものも、写真や図表等を多めに使い、審査員に伝わりやすいよう工夫していますが、最小限の大きさにし、内容が薄くならないよう、かつ、熱い思いが伝わるような計画書を作成しています。

再申請 に向けて

再申請に向けて、既存事業と自社を見つめなおし、SWOT分析をしましょう。知り合いに指摘してもらってもいいかもしれません。客観的な視点に気づくことができるかもしれません。

SWOT分析をしてすんなり新規事業にストーリーが流れるでしょうか。流れないようであれば、新規事業自体を根本的に見直す必要もあるかも知れません。

それらがうまくいって、初めて新規事業のマーケット分析や計画数値の精緻化といった話になります。

不採択となった事業計画書は、ストーリーが流れていないケースが圧倒的に多いです。

そこを見つめなおすことが再申請に向けた第一歩となります。